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LGBTとインターセクショナリティ

ソーシャルワーク・タイムズ vol75 子連れソーシャルワーク留学 in カナダ vol.21より転載

· AOP,大学院の授業

6月19日からカナダのトロントで「Pride Toronto(プライドトロント)」が始まりました。

プライドトロントとは、LGBT(レズビアン・ゲイ・バイセクシュアル・トランスジェンダー)等のセクシャルマイノリティと言われる人々が、自分たちの権利の獲得と差別の撤廃を訴えるイベントです。トロントはLGBTが住みやすい街とも言われ、同性婚や同性パートナーシップも認められています。またカナダは性的マイノリティであることを理由に迫害される可能性のある国や地域からの難民も受け入れています。19日から28日の期間中は、街にはテーマカラーの虹色が増え、様々なイベントやパレードが行われます。

さて、LGBT等のセクシャルマイノリティは「福祉の対象者」と言えるのでしょうか。

セクシャルマイノリティは、どんな社会でも人口の数%と言われ(2012年電通総研の調査では5.2%)、日本では200万人〜500万人が該当すると言われています。NPO法人虹色ダイバーシティーの調査によると、セクシャルマイノリティは社会の中で圧力や緊張を感じたり、孤立したり、いじめや差別的な言動も経験しやすいと言います。そのため、うつ病などのメンタルヘルスに問題を抱える割合が高かったり、若者の約半分は自殺未遂を経験しているとも言われています。トロントではLGBT等のセクシャルマイノリティをサポートする非営利団体がいくつもあります。その中でも若者・男性・女性・アジア系移民・HIVポジティブの人向けなど様々な団体があり、それぞれソーシャルワーカーが活躍しています。

現在「福祉の対象者」は医療、高齢、子ども、女性、さらにはもっと小さなカテゴリーに分けられ細分化してきています。確かにそれぞれの対象者に合わせた課題があり、支援の方法があります。しかし同時に「対象者」としてカテゴリーに分けて対応するということだけではなく(そもそも日本ではLGBT支援は「カテゴリー」としても不十分ですが)、クライアント一人一人が「インターセクショナリティ」の中にいるという認識が大切であると考えています。

「インターセクショナリティ」とは、うまく対応する日本語訳がないのですが、「様々な社会的抑圧の交差性」と言えばよいでしょうか。クライアントは一人一人、複雑な状況下にいます。年齢、ジェンダー、家族形態、経済状況、受けてきた教育、人種や民族、宗教、それぞれの社会的抑圧が絡み合って、状況(「問題」とも言う)が作り出されています。クライアントのアイデンティティは切り離せません。クライアントは多様な抑圧の交差性の真ん中に立たされているのだということを理解し、包括的にサポートすることが大切であるという考え方です。

インターセクショナリティの要素の一つにLGBT等の性的指向もあります。セクシャルマイノリティは計算上では、1クラスに1人〜2人以上はいるはずです。皆さんのクライアントさんや、同僚にも、カミングアウトはしていないけれど、当事者という方がいるかもしれません。そして性的指向が、アイデンティティや生活上の困難に大きく影響しているかもしれません。

対人援助職としてクライアントを理解し力を引き出すために、LGBTを正しく理解していますか?

「あの人オネエ(ゲイ)っぽくない?」「結婚しないの?」「彼女/彼氏いないの?」など、知らないうちに当事者を追いつめるような差別的な言動をしていませんか。

どんなことが差別言動になるかについての詳細は、『ジェンダー&セクシュアリティ』10号に掲載されている「『LGBTに関する職場環境アンケート 2014』における【差別的言動の事例】の内容分析」(二木泉)をご覧ください。またセクシャルマイノリティと収入の関係など、職場における困難についての論文(平森大規)も掲載されています。(本文はこちらからダウンロードできます。http://web.icu.ac.jp/cgs/

大学院の授業でも「インターセクショナリティ」という概念、とても強調されていました。この考え方を皆さんと少しでも共有できれば嬉しいです。

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