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注目されるグループワーク

ソーシャルワーク・タイムズvol 109 子連れソーシャルワーク留学 in カナダ vol.54

· カウンセリング,社会福祉制度,大学院の授業

本日2/14はバレンタインデー。カナダでは恋人や夫婦など親しい人がお花やカードをプレゼントします。性別関係なくプレゼントしますが、男性からのプレゼントの方が多いような印象があります。職場などでの義理チョコ文化はなくホワイトデーもありません。

さて、これまで2回に渡り、DVや虐待加害者のためのプログラムを紹介しましたが、加害者向けだけではなく、被害を受けた人へのプログラムも、もちろんあります。その中でもユニークなのは虐待を経験したりDVを目撃した「0から4歳」の子どもとお母さんを対象にした「Mothers in Mind」というプログラムではないでしょうか(*)。これまで、被害とその影響が可視化されにくいために支援の届きにくかった4歳以下の子どもに対して、トラウマを治療するためのプログラムを提供しています。

<グループ対象ソーシャルワークの興隆の背景>

北米ではグループで行う心理療法やプログラムが広く受け入れられています(カナダではソーシャルワーカーが心理療法などを実施できます)。その理由として、

1)カウンセラーや支援者と1対1の関係では得られないピア(仲間)からのサポートが得られる

ということ、そして

2) 一度に複数人に対応できるため、費用対効果が高いと考えられている

ことが挙げられます。カウンセリングや治療を行うソーシャルワーカーの多忙さと、限られた財政がこの状況を後押ししています。

北米でグループが盛んなのは、文化的な背景もあると感じています。カナダでは、男女問わず自分の悩みや弱みを友人、知人に話しているのを見かけます。またよく長電話をしています。

話をする時の顔の表情や、声のトーンも(日本人と比較すると)、正直に表現することが多いと感じます。加えて、小さいころから自分の意見をいう練習をしていることや、グループワークに慣れていて相手との意見の相違をあまり気にしない人もいて(すべての人とは言いません。北米の人も多くの人が空気を読んで行動しています)グループでのプログラムに抵抗が少ないことも考えられます。

<日本人にグループワークは適しているか>

日本でも依存の治療や、母親向けなどグループでのプログラムが増えてきています。

ただし、北米のグループでの治療やプログラムをアジアや日本にそのまま導入しても、同様の効果が得られるのかについては慎重に考える必要があると思います。

たとえば「Caring Dad」のプログラムに関しては「良い父親像」や父親に求められる役割や行動は文化や社会によって異なります。加害や被害の社会的な背景と、被害者に対する社会的なプレッシャーや抑圧の構造を考えることも大切です。参加者の意見や考え方が、他者の発言に与える影響も鑑みなければなりません。

そのため海外のプログラムは契約上、内容を変えて実施することができないものも多いのですが、文化に合わせてアレンジするのは必須だと思います。

日本人は知識を得ることや勉強が好きな人が多いので、レクチャー型の講義が向いていると感じる場面もあります。以前、NPOで仕事をしていた時、参加型の講座やワークショップを企画すると「発言は苦手だから…」と、参加を辞退される方もいらっしゃいました。

ただ、グループワークの利点であるピアサポートや実践の効果を考えると、講義だけでは内容が薄くなってしまいます。人間の思考と行動は「知る」→「理解する」→「行動する」という順を経て変化するので、講義で「知る」だけでなく、グループで実際に練習する行為が大切だからです。

個人的な意見ですが、日本人の集まりでグループワークを実施する場合、少人数のレクチャー型から自然と参加型ワークへ移行できるような雰囲気作りが出来ると良いのではないか、と考えます。

グループワークでは、その文化や社会的背景を理解した上で参加するメンバーに合わせたプログラム内容の設計と、参加者の力を生かして場を作ることのできるファシリテーターの高い能力が求められるのは確かです。それにはファシリテーターのセンスと訓練、そして努力が欠かせないと感じています。

*Mothers in Mind ウェブサイト:http://childdevelop.ca/mothersinmind

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