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カナダの組合事情ー介護職員向け組合も

子連れソーシャルワーク留学 in カナダ vol.97 ソーシャルワーク・タイムズ vol.164

· 組合,高齢者福祉,非営利組織

みなさんの職場には組合はありますか?もしあったらどのような活動をされているでしょうか。

私は会社員時代(金融系の会社)には組合がありましたが、その他の介護の仕事や専門学校の教員、NPOのスタッフなどをやりましたがその時には全くありませんでした。

カナダの組合事情について

カナダの組合組織率は全業種で、28.8%(2014年)。

公務(public sector)や福祉系の非営利団体は高い確率で組合があります。公務では71.3%、民間企業は15.2%です。

1981年の37.6%から組合の組織率は減っています。が、public sectorでは1999年から2014年で約1%微増しています。性別を分けてみると男性はどの年齢層も現象し、全体では43%から27%くらいまで減少しているのに対し、女性は約31%から微増しています。現在は女性の方が組織率が高くなっています。なぜ女性が高くなっているのかは要検討ですが、職種などが関係していると考えられます。

ちなみに、日本の組合員組織率は全体で17.3%(2016年)(パートタイム労働者の組織率は7.5%、公務は8.9%)で、アメリカは10.7%(公務では34.4%)です。

ここからみても、カナダは近年徐々に下がっているとは言っても、日本やアメリカと比べて組合の組織率が高いことがわかると思います。

私の勤務する老人ホームでも、パートも含め基本的に全員が加入するユニオンショップ方式で、SEIUという巨大なヘルスケア関連組織や団体が加盟する組合に入っています。

SEIUは1921年にシカゴで作られた組合が元になっていて、カナダでは1944年に組織されました。今は北米の巨大な組合組織となっています。

オンタリオ州だけで約5万人が加入しており、その内訳は老人ホーム2万8千人、在宅介護1万2千人、病院職員1万7千人だそうです。

組合がどのような役割を担っているのか…それは今後、働く中で見極めていきたいと思いますが、一つ大きなものに「賃金の保証&交渉」があります。

賃金は、組合と雇用者側で合意した「賃金スケール」によって決まります。たとえば看護師1-5、介護士1-5などで、どの段階に属するかは労働者の資格、経験、勤続年数などにより変わります。

この賃金を雇用者側と交渉し、決めるのが組合の大きな役割と言えます。

カナダでは「組合がある職場」は「賃金がある程度、保証されている=悪くない」というイメージが定着しているようです。

さらに病気や怪我でお休みをしたとしても、何か失敗をしたとしても(めったなことがない限り)解雇されないので安心感があるそうです。

SEIUは賃金交渉以外にも介護や福祉の職種別最低賃金を上げたり、労働環境を社会に訴えるような政治的な活動もしています。他組織と一緒にデモに参加したり、職場の支部ごとに話し合いを行ったり、集会もしているようです。

組合費は、賃金の1.8%。例えば賃金が月20万円の場合は、毎月約3600円。組合員向けの福利厚生サービスもあります。組合員やその家族向けの奨学金制度を設けていたり、保険やレンタカー、ホテルの割引などもあります。

またインターネットを使ったe-learning講座のコースも用意されています。ワードやエクセルの使い方から、パブリックスピーキング、危険物取り扱い、応急手当、ストレスマネージメントまで多岐に渡ります。好きな時に受講できるので、私も今度受けてみようかと思います。

なお、カナダは日本と比較すると有給の消化や労働関連の法令遵守が進んでいると思います。

例えばオンタリオ州では有給休暇は最低2週間で、1週間は連続して取らなければなりません。有給が残ってしまった場合、企業はその分労働者にお金を払わないといけないので、有給休暇はすべて消化するのが当然となっています。(有給休暇が付与されるのはフルタイムの人のみという職場が多いのは問題なのですが)

パートタイム職員などで有給休暇を付与しない場合は、最低賃金の4%をvacation payとして賃金に上乗せして支払わなければならないと決められています。

カナダの法令遵守の姿勢は、カナダが訴訟を起こしやすい社会であることも関係していると考えます。もし労働者側と企業側が裁判になった場合、法律を守っていない側が負けるのは明白なので、企業側に大きな損害が出る可能性があります。

それに加えて、組合の組織率が高いことも関連していると思います。何か問題があった場合には組合が話し合いを設けるだけでなく、ストライキも行っています。最近では、公立学校の教員、大学職員、郵便局、公共交通機関、ごみ収集の職員などのストライキがありました。

このように組合があることは労働者が守られているだけでなく、労働者が団結し声を上げやすい環境になっていると思います。

日本でも個人で加入できる組合などが広がってきていますね。日本とカナダ、今後の動きに注目したいと思います。

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