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田房永子著「キレる私をやめたい」を読んで

子連れソーシャルワーク留学 in カナダ vol.94 ソーシャルワーク・タイムズ vol.160

· カウンセリング,メンタルヘルス,カナダ生活

田房永子さんの「キレる私をやめたい」(2016)という漫画を読みました。田房永子さんの作品は「母がしんどい」(2012)という漫画から、本やコラムなど愛読しています。

「キレる私をやめたい」は、いつもは温厚な筆者(妻)が、ある特定の人(夫)にだけキレてしまうことを、猛烈に直したいと思い、様々な取り組みをしていくご本人の過程を描いたものです。ご本人はキレる家族に困っているという本はあるけれど、キレるのを直すにはどうすればよいか、という本はなかったので、色々と試した結果を描いたということでした。

私もたまに「プツン」と何かが切れるように怒りが出てしまうことがあるので、それをやめたくて読みました。

本の中では、いろいろなセラピーに行ったり、ご自身で内面を分析し、実践(実験)していく中で、筆者はキレてしまう原因をつきとめて解消していくことで、(キレることをやめることができただけでなく)「自分自身」を取り戻していきます。

その後、同じ作者の「呪詛抜きダイエット」(2014)という漫画も読んだのですが、上の作品と同じ時期に、自分の「食べ方」に違和感を持った筆者が、精神科を含めて様々な治療やセラピーに通った過程が明かされています。

呪詛抜きダイエット」は、実はダイエットに関する漫画ではなく、自分の身体的イメージへのコンプレックスや、何かの依存傾向があったり、自分に自信がない、自己尊重感が低い人などに当てはまる本だと感じました。

上の二つの本の中では、筆者は「キレてしまう自分」や「ダイエットできない自分」の原因を、過去の(主に家族との)関係性やそれによる自己評価の低さに見出しています。

そしてそれを解決するために、様々なセラピーやヨガ、運動や美容法などから、徹底的に「今・ここ」に注目することで過去に振り回されることなく、心身の休息をとり、あるがままの自分を認めることを意識することで、回復していきます。

この2冊を繰り返し読みましたが(1年後の今でも時々読み返しています)、これらの本は、読むだけで筆者の体験を追体験することができると感じました。自己尊重心が低い、特定の人に切れてしまう、コンプレックスがあるなどのことに思い当たることがある人は、自分の内面におきている状況に納得したり、癒されたり、元気付ける効果もあると感じました。

筆者の他の本(漫画)には、20代で親との不健全な関係を解消するために、親とほぼ絶縁したことを描いた「母がしんどい」をはじめとして、結婚や子育ての中で、心身の調子の悪さや、何か違和感を感じる場面で、徹底的に社会のあり方を問うています。また自分自身に、その違和感の源泉を問いかけたりする状況が描かれています。

 

しかしながら、筆者の置かれた環境は決して特殊なものではなく、今の日本によくあること(よくいる人)を描いたものでもあります。

これら一連の作品を読むと、筆者が変わっていく連続性が見られます。

その過程は数年間と長く、途中には本人には辛い(うつや強迫神経症の症状)こともあったことがわかります。

この本は「キレる私をやめたい」と思っている方だけでなく、ぜひ福祉の専門職の方にも読んでいただきたいと感じました。

福祉の専門職は、クライアントの回復や変化が目標でもあり、喜びでもあると思います。ですが実際にはクライアントのライフステージのうち、一時点しか関わらないことも多く、数年がかりで起こる変化を見られないことも多いです。

 

私も、色々な状況が重なり、カウンセリングに通っていた時期があります。その時には今のような状況(カナダにいて、勉強したり仕事をしたりしているetc...)を想像することもできませんでした。その時にお世話になったカウンセラーさんには、本当に感謝しています。今の状況を伝えたい、と思うこともありますが、カウンセリングを受けていない今となっては、なかなかそれはかないません。

クライアントの人生や生活の連続性を理解した上で、本人の回復をサポートするために、現在の一時点でできる最善のことをするのが専門職には求められているのではないでしょうか。

これらの本を読むことで、その連続性が垣間見られるのでは…と思います。

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