今週は「留学したいと思ったら(後編)」をお届けします。私が考える「留学したいと思ったらすぐ始めること5」は次の通りです(ごくごく当たり前のことです)。
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1. 英語の勉強を始める
2. どうして留学したいのかを徹底的に考えて言語化する
3. (現役の学生さんの場合) GPA(成績)を上げる(下げない)努力をする
4. 留学先の学校と出願条件を調べる
5. 奨学金を探す
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今週は4、5と「いつ留学すべきか問題」をお届けします(この情報は人文社会系の大学院留学を前提としています)。
4. 留学先の学校と出願条件を調べる
志望動機が固まったら留学先の学校を調べます。インターネットで調べられるのですが、大学&大学院は数が多いので大変です。留学してみたいと思ったら、専門が近い方で、希望する国に留学経験のある方に情報をもらうのが一番近道だと思います(でも、主観が含まれるので必ずしも正しい情報とは言えませんが)。
留学先の学校と出願方法は、国や学校によって驚くほど違います。アメリカ、カナダの場合、出願は日本の大学院に比べてとても早く、9月入学だと前年の秋頃~冬頃(1年~半年前)です。出願時には英語のスコアが出ている必要があるので(条件付き入学を除く)、英語の勉強はなるべく早く始めた方がよいのが分かると思います。
カナダの大学院の出願は大学時代の成績、推薦状2~3通(英語)、英語の試験のスコア、志望動機やエッセイでした。アメリカの場合はこれにGREという基礎学力テスト(もちろん英語)のスコアが必要な学校が多いのでその対策も必要になります。
なお、アメリカは最短5年で修士と博士の学位が取れるコースが一般的ですが、カナダでは修士と博士は別もので、別々に受験することが必要です(博士課程まで考えている人にはこれ重要)。
留学先は志望動機と学部の内容がマッチしているか、場合によっては指導してくれる教員がいるかを調べます。博士課程の場合はその先生が指導してくれるか事前に相談が必要なこともあります。カナダのソーシャルワーク大学院の場合には人数も多く専門職養成の意味あいが強いので、先生に相談する必要がないところが多いですが、事前に教員に相談したり会っておいた方がよいと言う人もいます。
どうしてもこの学校に行きたい、この先生について研究がしたいと決めている場合を除き、志望校がある程度絞れていても、受験は相性があるので、複数の学校を受験するのがよいと思います。ちなみに出願書類はすべてオンラインでアップロードする方法をとっているところも多いです。
5. 奨学金を探す
留学生の学費は高いです。特にアメリカの私立大学はとても高いことで有名です。カナダの大学はほとんど公立ですが、国内の学生の2倍くらいのこともあります。そのためほとんどの留学生は、留学にあたり奨学金を探すことになります。ただし、博士課程などだと学校側が学費を負担したり、奨学金をオファーするという場合もあります(カナダの博士課程の場合はほとんどそのようです)。
奨学金にはいくつかの種類があります。日本側のもの(公的団体、私的財団)、留学先の学校のもの(条件としてアシスタントなどをすることも)、留学先の国や自治体のもの(公的、私的)などがあります。それぞれ条件、金額、返還義務、応募時期などがかなり異なります。私は日本財団から奨学金をいただいていましたが、応募時期は学校への出願前、実際の留学の1年ほど前でした。このように出願と同時期かそれより前に奨学金を探して申請する作業も行います。
また、これはカナダに着いてから知ったのですが、オンタリオ州にはOSAP(オーサップ)という州からの学生ローンがあります。一定の要件を満たせば借りた額の30%程が免除になるため、多くの学生が利用しています。ただしこれは学費を一度立て替える必要があり、また返還義務もあるので、多くの学生は夏休みの間にアルバイトをしたりしています。
公的機関である日本学生支援機構(JASSO)が運営する海外留学支援サイトがありますので参考にしてください。
【いつ留学すべきか問題】
「留学したいな~」と思っている方は「いつ留学すべきか問題」があるのではないでしょうか。学部の間に休学して行くべき?卒業してから?就職してから?、はたまた今、社会人の方は仕事を辞めるのか?などなど…。私も長いこと留学したいと思いながら一歩を踏み出せず、長い間の夢の一つでした。ではなぜ「今」か。それは「今しかない!」と自分の覚悟が決まったからです。
留学の時期については私はぶっちゃけ「いつでもよい」と思います。ベストなタイミングは個人によって違うからです。私ももう少し若かったら、体力も時間もあって英語ももっと早く身に付いたのかも…とよく思います。しかし、授業や実習で取り扱う内容は、日本の大学と大学院を出て、社会人経験&子育て経験があることで、身にしみるほど理解できるという利点もあります。私は今のタイミングで良かったと思っています。ご自身が「今だ」と思うタイミングがベストなのだと思います。
カナダに来てより一層強く思うのは、人生は一方通行のまっすぐの道ではないんだ、ということです。ぐにゃぐにゃ曲がった道や細い横道、時々UターンだってOKです。その方が自分にとって素敵な場所に行けるのではと思うのです。私は自分の素敵な場所の景色をみてみたいんです。
最後に一言。留学すれば全てがうまくいくわけではありません。すぐに言語を習得出来るわけではありませんし、特に大学院留学は家にこもって一人で勉強していることが多いので孤独です。留学しただけでは社会問題は解決しないし、精神的ストレスもかかります。また、日本の大学の教育レベルは一概に低くないと思いますので、留学先の環境や教育内容にがっかりすることもあるかもしれません。
しかしそれも含めて学び、視野を広げる貴重な機会になると信じています。
色々と書きましたが「留学したい」と思ったらその方法はいくらでもあります。逆にしない方法を探すのも簡単ですし、日本では海外留学しなくても充分に生きていけます。でも私はちょっと勇気を出して留学して良かったなと、今、心から思っています。