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カナダの難民受け入れー受け入れはするが、差別は...あるー

子連れソーシャルワーク留学 in カナダ vol.92 ソーシャルワーク・タイムズ vol.156

· カナダ生活,移民政策

2017年2月上旬、カナダでは新アメリカ大統領のドナルド・トランプ氏の方針に抗議するデモが行われました。その1週間前の2017年1月29日には、ケベック州で起きたモスク襲撃の追悼集会などがカナダ各地で行なわれていました。

2017年2月上旬、トランプ氏は中東およびアフリカの7カ国から、アメリカに入国を禁止する大統領令を出しました。これに対してカナダのジャスティン・ドルドー氏は「カナダは難民の方々を歓迎します」と引き続き難民の受け入れを表明し、さらにアメリカに入国を拒否された人の期限付きの在留を許可しました。(トルドー氏はトランプ氏を直接的には批判しないのですが、こういうカウンター的な発言をよくしています)

最近、アメリカなどの国と比較して、移民、難民の受け入れに対して「カナダはいいね」と言われることも多いです。これまでカナダが受け入れたシリア難民の数は4万人だそうです(記事執筆当時)。翻って、日本では難民認定をしたシリア難民は6人とのこと。

日本で最近、今後300人難民を「留学生」として受け入れることを決定しました。正直「なぜ留学生?」と思います。

留学生として受け入れる理由は、「学校を卒業後に母国の平和構築を担ってほしいから」、と言っていますが、この制度では「将来的に日本に定住もできる」としています。言っていることが矛盾していますね。

本来、難民の保護と留学生の受け入れは、意図が異なるものです。難民の受け入れはその「保護」が目的なのですから。日本が「留学生」として「難民」を受け入れるというのは、難民の中で「単純労働者」層になりうる人々を定住できる難民として受け入れたくないことの表れである、と私は感じます。

(ちなみに自民党は最近、移民政策において「単純労働者」という言葉を使用することをやめる方針をだしました。しかしながら「外国人労働者」は必要であり、必要な分野ごとにその受け入れ方法や長さを検討していくそうです(なるべく長くビザの延長はするけど、定住はさせない方針)。言葉の使い方を変えて議論をかわす意図があるのが丸わかりです。)

このような日本の状況と比較すると、確かにカナダは渡航を希望する難民にとって「良い国」なのかもしれません。同時に、渡航後の生活を考えると、単純に「よい」といえるものではない…と複雑な気持ちにもなります。

トルドー氏が「難民を歓迎する」と発言した数日後、ケベック州でモスクで銃乱射によって6人が亡くなる事件が起こってしまいました。容疑者は28歳の白人で、イスラム教嫌悪の人とのことでした。これはカナダにとって、大きなショックであると同時に、「ついに起こってしまった」という気持ちを持った人も多かったと思います。

国のリーダーが「歓迎する」とは言っても、根強い嫌悪や人種差別も実はあります。社会は一枚岩ではないので、異なる意見があるのは当然ですが、それが殺人やヘイトクライムという形になって現れたことは問題の根がとても深いことを示しているのではないでしょうか。

ちなみに私の行った大学院のソーシャルワーカー養成課程では、無意識的に持っている差別意識や白人特権の意識に徹底的に向き合わされるということをしました。白人の友人は「もううんざり」と言って

いましたが、移民の友達は「私たちが毎日向き合ってることだから、当然」と対照的なコメントをしていました。

カナダの難民受け入れについて話を戻すと、難民申請をしても認定されるかどうかはわかりません。認定されなければ帰国させられます。無事に難民認定されても、その後厳しい現実が待ち受けています。言葉の問題もあります。そして就職先の問題も。

カナダでは人種や出身国などに基づく差別は明確に禁止されています。とは言っても、やはり差別はあります。例えば採用では見えない差別があり、よい仕事に就くことは難しいそうです。

名前が「外国人風」だと、書類選考のときに落とされる、ということもあるそうです。そのために英語風に改名する人もいるんだとか。カナダの学歴や職歴がないという場合にも、就職は難しくなります。

母国の地位や職業をあきらめたり、収入が大幅に下がる仕事を探すという場合もよくあります。「母国では医師、カナダでタクシードライバー」というのはよく聞く例の一つです。

移民は、入国する前より、後の方が精神状態(メンタルヘルス)が悪くなるというのは、カナダの福祉保健業界ではよく知られた話です。大変な状況の中から、逃れてきたはずなのに、です。

住み慣れた国や地域を逃れざるをえない、そのような人々に何ができるのだろうかと考えます。

今、改めて自分ごととして「難民受け入れ」への意識を考えたいと思います。

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