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職場での「いじめ」と「ハラスメント」

ソーシャルワーク・タイムズ vol67 子連れソーシャルワーク留学 in カナダ vol.13

· 大学院の授業,非営利組織

皆さんは、「パワーハラスメント」が和製英語だということはご存知でしょうか。私は以前、これを知らずに、普通に英語の会話の中で使ってしまいました。詳しくは後述しますが、日本語の「パワハラ」とカナダの「ハラスメント」意味が異なります…。

さて、日本の職場で「ハラスメント」というと、「パワーハラスメント(パワハラ)」や「セクシャルハラスメント(セクハラ)」が有名です。このような行為に対して、「嫌がらせ」や「いじめ」と呼ぶこともあります。日本では「いじめ」や「ハラスメント」の定義は法律で明確には定められておらず、2011から12年に行われた厚生労働省の「職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議」では、「いじめ・嫌がらせ」を「パワーハラスメント」に含め、次のような定義とするよう提案されました。

「同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為。」(※上司から部下に行われるものだけでなく、先輩・後輩間や同僚間、さらには部下から上司に対して様々な優位性を背景に行われるものも含まれる。)

一方、カナダでは職場での「ハラスメント」と「いじめ・嫌がらせ」は異なるものと法律で定義されています。オンタリオ人権規範(Ontario Human Rights Code)という法律によると「ハラスメント」とは、年齢、人種、民族、国籍、性別、障がいの有無、婚姻の有無、性的指向、宗教などの14の基準に基づく人やグループに対し、法律で禁止されている差別を行うことを指します。この規範の原型は1962年につくられました。

上の基準に当てはまらない人に対する嫌がらせ行為は、職場の「いじめ」に該当します。カナダでは職場のいじめ問題が深刻化しており2010 年に職場いじめを禁止する法律、Bill168 が作られました。

Bill168はいじめ行為を「1.身体的暴力、2. 身体的暴力を用いるように脅す行為、3.相手を傷つける言葉や行為を行うこと」と定義しています。

なお、「ハラスメント」も「いじめ」も上司から部下だけでなく、同僚間、部下から上司への行為を含みます。

カナダでは「ハラスメント」も「いじめ」も、法律に違反した犯罪行為であり、オンタリオ州の労働省は「職場の健康と安全に関する規定(Occupational Health and Safety Act)」に基づき、雇用者は職場のハラスメントやいじめを防止する義務があると細かく定めています(例えば、職場の「いじめ」や「ハラスメント」を防止するための就業規則を作り1年に一度見直す、研修を実施するなど)。裁判になれば、加害者だけではなく、雇用主の管理責任を問われることもあるので、管理職や人事はこれらの法律に基づき対処をしなければならないとされているのです。

なお、その行為が「ハラスメント」や「いじめ」にあたるかどうかは中立の立場の管理職や人事部が判断することになります。その際には、その行為がどの程度 、1.悪意を持ったものであるか、2.繰り返し執拗に行われているか、を調査して判断します。この調査の際にも、前回お伝えした「1.当事者全員に、2.なるべく早めに、3.よく話を聞く」という人材管理の基本が大切になります。そして加害者本人は「そのつもりでなかった」という場合でも、法律や社内の規則に従って定められた対応や処分(口頭や書面での注意や指導など、回数や程度によりその都度変わる)がなされることがあります。

担当教員(実際に社会福祉組織の人事を担当している)が言っていたことで心に残っているのが、いじめやハラスメントの問題を問わず、組織は法令を遵守することが求められている、ということです。そして「役職や年齢が高い人、男性など、特に権力(パワー)を持ちやすい人は、ハラスメントやいじめに対し、敏感すぎるくらいに注意するのがちょうどよい」とのことです。

社会で、いじめやハラスメントに関する明確な法令が存在すること、そして組織に法令を遵守する姿勢があることによって、労働者が守られるのだと改めて感じました。皆さんの職場では「ハラスメント」や「いじめ」がありますか?そして、それらに対する対策はなされていますか?

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