組織を変える8つのステップ(9)

 

子連れソーシャルワーク留学 in カナダ vol. 74ソーシャルワーク・タイムズ vol.131

· 組織論

今日は寒いくらいで多くの人が長袖を着ているトロントです。さて、カナダの学校は6月末に学期末を迎え、2ヶ月間の夏休みに入りました。その間子どもたちはというと、様々な組織がやっているサマーキャンプ(日帰りが多い)に行きます。キャンプは学校や教育委員会、教会や非営利団体、大学など様々なところが運営しています。通常は1週間単位の申込で、普段、学校ではできないスポーツやサイエンスなど様々なプログラムがあります。

珍しいところでは、カナダの軍が比較的安くサマーキャンプを開催しているようです。ちなみにカナダ軍はトロント動物園のシロクマのスポンサーもしたりしています(PR戦略の一環として)。

人気のあるサマーキャンプは2ー4月の受付開始時にすぐに埋まってしまうこともあります。ただ参加費は1週間で200から300ドルのところもあり、税金の控除が受けられると言っても値段の高さにより参加を躊躇してしまう人がいるのも確かです。一部ではありますが、収入に応じた補助があるキャンプもあります。

さて、組織を変える8つのステップ、本日はやっと最終回。最後のステップ「評価し、変化したことを称賛する(Evaluating and celebrating the change)」です。

「評価すること」と「称賛すること」の二つは、変化の過程を終了させるために必要なことです。

ここで一番大切なことは、メンバーを含めて関係者で結果を共有します。データなど目に見える形で変化を感じられるとよいです。

アンケート結果や、聞き取り調査の結果などを利用して、どこがどう変わったのか検討するとよいでしょう。

そして可能であれば、外部の人などを含めて他のステークホルダー(関係者)にも、この結果を知らせましょう。総会などがあれば、そのよい機会になるかもしれません。

また同時に、変化の成功をお祝いします。これはなかなか日本人には難しいところなのかな、と思います。

称賛したりお祝いしたりする方法には、様々なものがありますが、変化に関わったリーダーやスタッフを目に見える形でねぎらう、お疲れ様会や、パーティーを行う、などもあります。

ちなみに、カナダでは夜の飲み会はほとんどありませんが、親睦のためのランチやクリスマスの持ち寄りパーティー、夏の職場でのBBQ、誕生日をお祝いするケーキを職場で食べたり、その都度カードを渡したりなど、小さなお祝いを日々行っている職場は多いです。

クリスマスディナーやスタッフ感謝会を行う職場もあります。

少し話がそれますが、以前、日本で高齢者施設&グループホームなどを運営している法人の「事例研究発表会」を見学させていただいたことがあります。

そこでは、毎年、各施設ごとにテーマ(と仮説)を設けて事例を検証し、それを大きなホールを借り切ってパワーポイントやポスターを掲示して発表するというものでした。

テーマにはたとえば、「ご利用者の運動能力を増進するには」、「寝たきりの人を減らすためには」、「おむつ使用率を減らすには」、「スタッフのストレス軽減」、「散歩の効能の検証」、「嚥下機能の増進のために」、などなどがスタッフさんが設定したさまざまなものがありました。

ここでの発表会の最後に、民間の審査員と理事と会場の職員による投票で、優秀だったところを選び表彰していました。

このような会は、医療・福祉に関する新たな取り組み(変化)の促進になることや、法人内部での情報の共有になります。また、大きな法人だと知らない人も多い中で、職員同士が知り合う機会になります(仲間作り)。さらに表彰を行うことで、変化を称賛するよい機会になるなあ、と思いました。

毎年、法人としてこのような事例研究と発表が行なわれているのは、いろいろな意味で素晴らしいことだなと思います。

組織としてこのような仕組みがなくても、現場の多くの職員は、ケアや介入により最大限の効果が出るように、新しい取り組みを勉強したり、試したり、職場環境を良くしたいと願って、いろいろと試行錯誤している人も多いのではないでしょうか。

そのような人々が少しでも、仲間と繋がることができ、組織の変化が実現できることを祈っています。

このテーマでの連載が9回と想像以上に長いものとなりました。最後までお読みいただきありがとうございました。それではまた次回、お会いいたしましょう。