組織を変える8つのステップ(8)

 

子連れソーシャルワーク留学 in カナダ vol. 73 ソーシャルワーク・タイムズ vol.129

· 組織論

先日「エビデンスベースドリサーチ(根拠に基づいた研究)」の授業で、学生が選択したケース(クライアント)に、それぞれが選択した介入方法(心理療法)が効果的かどうかに関して、計量論文をリサーチした結果を発表しました。 

以前にもお伝えしたようにカナダでは、MSW(ソーシャルワーク修士)保持者は心理療法も提供するので、メンタルヘルス系の発表が多く、クライアントや介入方法にも現代の問題が反映されているように思いました。 

例えば「難民としてカナダに来た元少年兵のPTSD」にどのような心理療法が効果的かというテーマを扱った人や、介入方法として「マインドフルネス認知行動療法」「Web上でのオンライン認知行動療法」「ディグニティセラピー(尊厳療法)と通常の緩和ケアの比較」「スカイプでの禁煙カウンセリング」は効果的か、などを扱っている研究が印象的でした。 

さて、今回は「組織を変える8つのステップ」の7番目「迅速な対応と頻繁な修正を行う(Acting quickly and revising frequently)」です。 

多くの組織で変化を起こす時、目的、ビジョンについて、そして計画は問題なくたてられることが多いのですが、一番大きな挑戦はその計画を日常業務の中で実行することであると言えるのではないでしょうか。 

計画を日常業務の中で実行する中で、もし何かうまくいかないことがあれば、迅速に対応することが求められます。その際に計画やビジョン・ミッション通りに進んでいるかのチェック「モニタリング」が必要となります。 

モニタリングには、ビジョン、ミッション、アウトカム(結果)、予算、ガンツチャート、責任者チャート、手順書など既存のものを使用することができます。それらにしたがって、計画がきちんと予定通りに遂行しているかを評価します。

また、文章やステップに明示されてないような規範や行動(雰囲気や言動を含む)などを観察することもあります。このステップでは、モニタリングのツール自体を開発したり新しいものを使用するなどによってあまり時間をかけない方が良いと思われます。

とにかく、ビジョン・ミッションそして求めるアウトカム(結果)に戻りそれが通りに実行されているかをチェック!です。アウトカム(結果)とは数字だけでなく、職場の雰囲気や人々の士気や気持ちも含まれます。 

そして、もし必要ならば、変化の内容や手順、ルールを柔軟に調整します。その後、またモニタリングが必要になるのですが、どのくらい次のモニタリングまでに期間を置くのか、だいたい目標とする期間を決めておくと良いでしょう。

日々のモニタリングの中で、また問題があれば、さらに次の段階でも変化のステップが必要になるかもしれません。

この繰り返しが、求めている変化そのものとも言えるのではないでしょうか。 

さて、次回はいよいよ最後のステップ「8. 評価を行い、変化したことに対して称賛する(Evaluating and celebrating the change)」です。