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あなたの「特権」は何ですか?

ソーシャルワーク・タイムズ vol.55 子連れソーシャルワーク留学 in カナダvol.3より転載

· 大学院の授業,AOP,特権

私が今通っているカナダの大学院の授業では講義は少なく、ディスカッションが主な内容です。
宿題になっている文献を基に様々なテーマで議論するのです。
理論や方法論を知ることは求められていますが、中間期末試験も暗記をしたり選択方式のテストではなく
自分の考えや学んだ内容をレポートに書いてまとめることが求められます。

今まだ1学期を終えただけですが、印象的だったのは、どの授業でも徹底的に多様性の尊重、
自己覚知(自分の価値観、社会的位置を知る事)や、差別や社会問題を解決していく姿勢、
社会を変えていく姿勢、支援するとはどういうことか、支援する側(自分)の影響力について学びます。

特に「自分の持っている特権とパワー(権力)について自覚する」という考え方は、
なんども繰り返し、徹底的に叩き込まれるといった感じです。

実はトロントの人口の約50%はカナダ以外で生まれた人です。
クライアントの多くは、インターセクショナリティー(様々な社会的差別の交差性)の中におり、
複雑な問題を抱えています。
人種や民族、宗教、ジェンダー、年齢、家族形態、職業、LGBT等の性的マイノリティなど属性による
差別や困難、貧困、言語の問題、教育格差の問題などなど。

そんな中で、ソーシャルワーカーとなる者には自分の「特権」を自覚することが求められます。

「特権」とは、例えば…
大学や大学院に来られること、英語(や他の言語)が話せること、
白人であること(なんだかんだ言ってもまだ白人が有利な社会です)、出身地、
宗教(キリスト教が多数)、職業、ソーシャルワーカーという立場、そして社会的地位、経済的地位、などなど。
社会や世界の中で、どのくらい有利な立場に自分がいるのかを、自覚的にならなければいけないということです。

そして、これらの「特権」を持つソーシャルワーカーは「権力(パワー)」を持ちます。
この権力がクライアントとの関係性や介入にどのような影響を及ぼすかについても自覚的になることが必要です。

それ以外にも、自分にとって抵抗があるクライアントはどのような人か?何が自分の心理的トリガーになるのか?
クライアントに対してジレンマを抱える時があるか?自分のどのような価値観や経験がそれらを引き起こしているのか?などなど、徹底的に自己分析をさせられています。

積極的に移民、難民を受け入れている「カナダ」という国、そして多民族が集まる「トロント」という地域だからこそ、と言えるかもしれません。しかし、日本でもきっと活かすことができる視点であると信じています。

なぜなら、ソーシャルワーカーはクライアントに対して「支援をしてあげる」人ではなく、
クライアントが元々持っている力を引き出したり、取り戻すため、少しだけお手伝いをする役割だと私は思うのです。
そして社会と個人の橋渡しをする役割もあります。
だからソーシャルワーカーはクライアントの問題を解決するだけではなく、
問題の根本である社会を変えるという役割も持っていると信じています。

でも時々くじけそうになるから、支援者を支える人が必要なのだと思っています。

それでは今回はこの辺で…。

 

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