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リトルチベットとジェントリフィケーション

ソーシャルワーク・タイムズ vol102 子連れソーシャルワーク留学 in カナダ vol. 47

· 移民政策,貧困

先日、今学期(2年目前期)の授業と実習を無事に終えることができました。相変わらず毎期末レポートの執筆に追われ、通常業務(家事・育児・睡眠)がおろそかになるという事態でした。周囲(主に子ども達)と自分の心身(寝不足)への影響を考えると、来年からは少し計画的にレポートに取り掛かりたいと思いました(笑)。

さて、皆さんはチベットについてどのくらいご存知でしょうか。トロントには「リトルチベット」と呼ばれる地域があり、チベットから来た難民の方々が数多く住んでいます。移民や難民の方々は知り合いや親族を頼ってきたり「プライベートスポンサー」の枠でカナダにくることも多いので、トロント各地に、特定の民族や人種が多い地域があります。道を挟むと街の雰囲気がガラリと変わる地域も多いです。

移民の多い地域では「セトルメントワーカー」と呼ばれるソーシャルワーカーが図書館などに常駐して、活動しています(委託を受けた非営利団体です)。ビザ関係、雇用、教育、医療、子供関係などの相談、手続きの手伝いや、必要なリソースにつないだりしています。

先日トロントの「リトルチベット」を訪問しました。チベットは、中国政府がチベット人が少数民族の一部であるとと主張し、政治・宗教・文化面などで色々な弾圧があると言われています。そのため、ネパールやインドなどの国外に脱出し、そこから第三国に難民申請をして、ヨーロッパやカナダなど、さらに遠くに行くチベット人も多いそうです。

娘の同級生のチベット人の子も、カナダに来る前にはインドに住んでいたんだとか。そのためトロントにいるチベット出身の方は、チベット語だけでなく、中国語、ヒンズー語などを話せる人もいるそうです。

リトルチベットで行われている大人のための英語クラスを見せてもらいました(トロントには移民や難民の方のために、教育委員会が実施している無料の英語クラスがあります。子どもは普段の学校でESLがあり、大人は地域センターや図書館の教室で英語の授業を受けることができます)。

この日は年内最後のクラスということもあり、2クラス合同の持ち寄りパーティー。人数は20数名でしょうか。地域住民対象の英語クラスですが、参加者のほぼ全員がチベット出身者だそうです。

輪の中心では、女性が民族衣装でリズムをとってダンスをしていました。おばあさん、おじいさんと呼んでもよいような年齢の方も多く、話を聞くと、やはり年齢が上がってからの英語の習得はかなり難しいようでした。

弾圧や迫害を受けて、または子どもによりよい環境を与えるために、生まれ育った国を出て(捨てて)、言葉の通じない国に来なければならない方々は、どういう気持ちなのかなぁ…と改めて思いました。

それでも皆さんとても優しくて、もの静かで、にこやかに接してくれました。私はお年寄りが好きなこともあり、皆さんの楽しそうな様子を見ているだけで、癒されました。

クラスでは非営利団体の人が中心となって、地域菜園を行っているのだとか。チベットの野菜を植えたり、土いじりをしたり楽しそうです(トロントでは都心のちょっとしたスペースを利用したコミュニティガーデンを推進している団体があります。移民や若者など、地域活動に参加するきっかけにもなるということで、広まってきています。)

近年、都心から近いこの地域では「ジェントリフィケーション」が進んでいるんだとか。ジェントリフィケーションとは、比較的貧しい地域に裕福な層が流入すること。再開発により建物が新しくなったり、街や店がおしゃれになったり、安全になったりする一面があります。一方、家賃が上がってこれまでの住民が住み続けられなくなったり、地元の商売が続けられなくなることにより、移転を余儀なくされ、地域のコミュニティが崩壊するという危険性があります。

トロントのジェントリフィケーションで(も)その中心的役割を担うのが多国籍の不動産企業。集合住宅を買い取って、家賃をジリジリ上げていったり、外壁工事をしたことを理由に(内装は変わってないのに)家賃を上げるなどが行われています。

特に、トロントでは人口増加により都心に住居が不足していることもあり、都心のジェントリフィケーションに拍車がかかっています。それに対して地域の住民や複数の非営利団体が共同で研究や提言をするなど声を上げたり、地域づくりを一緒に考えていく機会を作ろうとするなどの取り組みが行われています。

日本でもジェントリフィケーションは様々なところで起こっています。渋谷の宮下公園がナイキ社によって開発された際には、ホームレス排除と公園を閉鎖的空間とすることが問題になりました。さらにここは、来年から商業施設とホテルが入る建物を建築するなど、また開発されるようですね。

2020年に向けて東京の色々なところが開発されていくでしょう。もう5年しかないので急ピッチで進められると思いますが、本来、地域の開発は、都や自治体、不動産業者にお任せではなく、地域住民の合意を得られるような丁寧な話し合いが必要だと思っています。そのような話し合いの際に、新しい住民(移民や外国人を含め)の参加をどう促すのか、今後課題になる日が日本でもくるかもしれません。

ちなみに、リトルチベットに点在するチベットレストランは安くて美味!中でも「モモ」と言われる餃子が有名です。他の料理もさっぱりしていて優しい味でした。機会があったら是非食べてみてください。

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