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ソーシャルワークとカウンセリング(4)目標の設定

ソーシャルワーク・タイムズ vol79 子連れソーシャルワーク留学 in カナダ vol.25 より転載

· 大学院の授業,カウンセリング

このコラムは毎週、土曜日の午前中に公立図書館で書いています。トロントの図書館では、全館wifiが入るので勉強や仕事にとても便利です。カナダでは大学受験のペーパー試験がないからか(?)日本のように高校生に占領されているということもありません。

以前、トロント市の図書館が地域のバブとして活用されていることをお伝えしました(例えば相談員が常駐していて、様々な相談ができる館があったり、英語や趣味の教室が行われています)。

つい先日知ったのですが、大半の図書館で土曜日の朝に美術館や博物館などの無料チケットを配っていて、1週間につき1回、家族分のチケット1種がもらえるそう。場所によって配っている券が違うので、朝早くから並んでいる所もあるとか(トロントは動物園や科学館の入場料が高いので、このようなサービスは嬉しいです)。

日本でも図書館が福祉の窓口として活用されればと思います。役所に行くまでもないけど色々とリソースを知ることができる場として。例えば曜日替わりで、中高年の方向けの生活相談、子育て中の方のための相談、小中高生向けの心理や進学の相談などどうでしょうか。

さて、過去3回に渡りカウンセリングや面談では、3つの要素「1. クライアントの課題の明確化を行う、2.目標設定を行う、3.実施する内容や手法について説明し同意・協力を得る」が重要であることをお伝えしています。先週は「1.課題の明確化」について考えました。今週は「2.目標設定」について考えてみたいと思います。

「2. 目標設定」とは、クライアントがこのカウンセリングや面談(複数回)を通じて、何を達成したいのか、どうしたいかという点を明確にすることです。これは「1.課題の明確化」で明らかになった課題に基づいて設定します。「◯◯という課題があることが分かりましたが、これがどのようになると良いでしょう」など単刀直入に聞く場合もありますし、「朝起きて何か一つ変わっているとしたら、何を希望しますか」などの質問から探っていく場合もあります。

ここで大切なことは、大きな(長期的)目標を見失うことなく、小さな(短期的)目標に落としこむことです。例えば「変わりたい」という大きな(または漠然とした)目標を持つ方には、「聴いて→それについて質問する」ことを繰り返すことで、具体的に行動に移せる目標を設定します。

「将来の夢」など、大きな目標ばかりに焦点を当ててしまうと、小さな目標を達成している自分が見えなくなることがあります。また小さな目標を達成することにばかり焦点があてられてしまう環境に置かれている場合(日常の業務をこなすなど)、大きな目標が見えなくなってしまうこともあります。

これらの結果、自己評価が下がり「私、何してるんだろ…」と燃え尽き状態になる方がいます。例えば入職したばかりの新人の方は、日々の業務に追われる中、疲れも相まって一つの失敗にとらわれてしまうことがあります。小さな目標達成を重視するあまり、大きな目標が見えなくなっている状態です。ちなみに、こういった方は責任感が強く、頑張りやさんに多いです。

この場合、1) 外からの長期的な視点で、今と未来がつながっていることを示すこと、2) 大きな(長期的)目標を再設定する、3)同時に「今、ここ」で達成できる小さな目標を設定し、こなすことで自己評価をあげることが必要です。その際に、本人が目標達成を実感できるようなフィードバックを定期的に提供することが必要です。

この目標設定の過程で大切なことは、大きな目標も小さな目標も、最終的には「自分で決める」ということです。

クライアントの人生の主人公は、クライアント自身です。自分の納得できる人生を、自分のために生きるお手伝いをするのがソーシャルワーカーではないでしょうか。

ちなみにワーカーに対するスーパービジョンでは、ワーカーへの指導的側面、組織の管理的な側面も入ってきますが、それでもスーパーバイザーの支持のもと、本人自身が目標設定を行う重要性は同じです。

次回は、ソーシャルワークとカウンセリングの最終回です。「3.内容の同意・協力を得る」について考えたいと思います。

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