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人材管理の3つの基本<当事者に・早急に・よく聞く>

ソーシャルワーク・タイムズ vol66 子連れソーシャルワーク留学 in カナダ vol.12より転載

· 大学院の授業,非営利組織

数日前から急に気温が上がりノースリーブやショートパンツの人が激増したトロントです。春を飛ばして、気分は夏に突入しているようです。

さて先日まで社会福祉組織の人材育成と管理に関する科目を履修していました。授業では、管理職や人事担当者として、ワーカーに対しどのような対応や教育をすべきかに関する内容でした。

まず最初に驚いたことは、カナダでは履歴書に年齢も性別も記載しないということです。顔写真も添付しません。というより、それらを記載させることは違法となります。

ワーカーやスタッフの採用は、職種とそこで求められるスキルや資格があるかどうかを元に判断されます。年齢や性別で採用の可否を判断することはもちろん違法です。ただし移民の多いトロントでは、写真の見た目ではなく「名前」で差別されることがあるそうです。名字と名前が共にいわゆる「カナダ人らしい」名前でない場合は、書類審査で落とされてしまうことがあるそうです。そのため移民者の中には、英語風に名前を変える場合もあるそうです。

また意外に思えるかもしれませんが、カナダでは(でも?)就職の際コネクションが重要視されています。比較的頻繁に職場を変わる人も多いカナダ。業界内の知り合いから転職先を紹介されたりすることも多いそうです。

さて、この授業で興味深かったことの一つに、スタッフ同士の利害が対立した時にどのように調整するかというものがありました。カナダは世界有数の移民受け入れ国家であり、様々な人種や民族、宗教の人々がいます(トロントの人口の約50%がカナダ以外で生まれた人です)。当然、従業員にも様々な人種が混じり合っており、意見や利害が対立することもあります。

例えば実際にあった事例として、

1.あるスタッフが宗教上の理由でLGBT等の性的マイノリティであるとカミングアウトしているスタッフとチームを組みたくないと言っている。これに対して管理職としてどう対応しますか、というもの。この場合は、「性別や性的指向を要因とする差別の禁止」と「信教の自由や宗教上の価値観の尊重」のどちらを尊重するのかについて判断が求められます。

また、2.宗教上の理由で一日に何度かお祈りが必要なスタッフがいます。その際足の洗い場のついた静かなスペースが必要だと言っています。それには事務所の改修が必要です。しかし他のワーカーから、それは特別扱いだという意見がでています。この場合に人事としてどのように対応しますか、など、実際にあった事例に基づき話し合います。

言語や習慣や価値観が大きく異なる人々の集まりですから、「何となくこれまでの慣習通りに…」「まあまあ、空気をよんで…」「カナダ人に合わせて…(そもそも誰?)」というような漠然とした対応では、対処しきれません。ここで重要なことはとても基本的なこと。それは1.当事者全員に、2.なるべく早めに、3.よく話を聞く、ということです。本人がどうしてそのように考えるのか、どのような対応を希望するのかを、徹底的に聞き、そして話し合うことが必要です。文化的な価値観の違いについて、話し合いで解決できることも多いのです。その際には、話しやすい雰囲気や傾聴する態度が必要です。

それでも問題が解決できない場合、最終的には、組織の就業規則や内規、カナダ国内や州の法律や条例、判例などを基に判断し、対処します。ここで重要なのは、判断の根拠がしっかりしていることです。担当者や管理職の独断やその場しのぎの対処をした場合、逆に従業員から訴えられる可能性もあるからです。

ちなみに職場でのいじめやハラスメントは法律で禁止されています(何がいじめやハラスメントに該当するかは改めて書きたいと思います)。この場合にも、早めの聞き取りを含む対処がとても大切になります。職場でも多様性(ダイバーシティ)が大切と言われるようになってきた日本ですが、皆さんの職場では、良く話を聞いてもらえますか?

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