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難民の受け入れ

ソーシャルワーク・タイムズ vol86 子連れソーシャルワーク留学 in カナダ vol.32

· 移民政策,社会福祉制度

今週、シリア難民の男の子が海岸に漂着して亡くなっている写真が報道されました。特に難民を受け入れている国では衝撃が走りました。なぜなら難民の受け入れは、市民の賛否が分かれる大きな政治課題の一つであるからです。

カナダもこの報道に衝撃を受けている国の一つです。今回の事件で、この家族のお母さんと子ども2人(写真の男の子とその兄弟)が亡くなったそうですが、実はこの家族の親族が難民としてカナダで暮らしています。そして近く、この家族をカナダに呼び寄せようとしていたことが報道されました。

難民の場合は、親族や家族の一部が先に入国し、申請が通り生活が安定した後に保証人となって他の家族を呼び寄せるというケースが良くあるのです。報道からは市民が他人事ではないと考えていることが伝わってきました。

以前もお伝えした通り、カナダは難民を多く受け入れている国の一つです。しかし2006年にハーパー首相の保守政権になってから受け入れの数も減り、国内での難民申請者への処遇も厳しくなっていると言われ、批判が高まっていました。

実際に難民申請の受理数は、2005年には35,775人だったのに比べ、2014年には23,286人に減少していますし、国際的に見ても2010年の世界5位から2014年には世界で15位に下落しています。そのうち12,300人はresettled refugeesと言って、避難している国から受け入れた人々です。この1万人という数は多いようですが、世界中の避難民の1パーセントにも満たないものです。

なお2014年の受け入れ人数は多い国は、上から、ドイツ、アメリカ、トルコ、スウェーデン、イタリア、フランス、ハンガリー、UK、オーストラリアです(UNHCR)。

今回、ハーパー首相は10,000人のシリア難民を受け入れることを発表しました。これは秋に行われる選挙対策でもあるようです。10月の国政選挙では難民の受け入れが争点の一つとなりそうです。現在、各候補者が難民の支援策について続々と発表しています。また多くの市民が意見を発表しています。

同時にハーパー首相はカナダは「移民の受け入れのトップ国の一つである」と発言しましたが、これに対しても批判が起こっています。移民と難民は異なるからです。移民と難民を合わせた16万5千人の90%は命の危険がない経済移民だからです(近年、経済移民も難しくなっています)。

翻って日本はどうでしょうか。日本では2014年には約5,000人の申請に対し11人を難民認定し、160人を人道的配慮として在留資格を与えました(UNHCR)。しかし、難民支援協会によるとこれまでシリアから来た人で難民認定された人の数は3人だそうです。

確かに、日本は他のEU諸国や欧米と比較すると支援体制が整っていません。しかし、1970年代後半にはインドシナ難民を1万人受け入れた実績もあります(アメリカは82万人だそうですが…)。「島国だから…、日本語は難しいから…、支援体制が整っていないから…」などと出来ない理由を並べるのは簡単です。

国内の政治や社会問題への取り組みは無論大切です。しかしそれと同時に、国外の問題にも目を向けて日本が出来ることを考えていくことが必要ではないでしょうか。個人的には、自国の利益のみを考えて、特区を作ってまで外国人家事労働者の「受け入れ」をしている場合ではないと考えています(こちらの労働者の保護ルール策定もままならないというのに…)。

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