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1年目の実習を終えて(1) 就労支援事業

ソーシャルワーク・タイムズ vol84 子連れソーシャルワーク留学 in カナダ vol.30

· 大学院の授業,非営利組織,実習

昨日1年目の実習が無事に終了しました。今回は実習の様子と感じたことをお伝えします。

カナダのソーシャルワーク大学院は修士課程の場合、専門職養成という意味合いが強いので、実習が重要視されています。トロント大学大学院では、1年目は469時間(67日×7時間)以上、2年目は518時間(74日×7時間)以上の実習が義務づけられています。

普通は授業を受けながら週に何度か実習先に通うのですが、私は4月末から8月に集中的に行う方を選びました。いずれの場合も1か所のみで、長期間通います。同級生には病院やカウンセリングセンターなどを希望が人が多いようです。

私が実習に行っていたのは地域の非営利団体。移民を支援するサービス、英語クラス、子どもへのスポーツや音楽のクラス、ホームレス支援など多岐に渡る活動を行っている100年以上の歴史がある組織です。

その中でも生活保護を受けている人の就労支援を行う部署でした(オンタリオ州の生活保護と就労支援制度については5月17日、24日の記事をご参照ください)。ここでは現在、就労支援として就職につながる3つの講座を実施しています。

1つ目は一番仕事につながりやすい講座で、コールセンター&カスタマーサービス講座(4週間、フルタイム)。この講座の参加者には、老若男女の参加者がいましたが、フランス語を話す移民の人や女性も多かったです。1週間の座学&練習後に3週間の実習に行きます。実習先で評価が高かった人はそのまま雇用されることもありました。なおカナダでは英語が話せない方でもフランス語が話せれば、コールセンターの仕事は見つかりやすいとのことでした(カナダは英語とフランス語が公用語)。

2つ目は電気やガスの専門職を目指すための入門講座(4週間、週2回)。これは若い人や、これまで資格なしで建設現場で働いていたがステップアップしたい人に多かったです。参加者は、全員男性です。電気やガスの専門職(職人)は資格が必要なので、講座後に職人見習いとして就職したり(実際は募集人数が少ないので難しい)、専門学校に進学して電気やガスについて学ぶという人もいました。講座後にビルの管理人さんとして就職する人もいました。

3つめは自分でビジネスを始めたい人のためのスタートアップ講座です(8週間、週3回)。この講座では、ビジネスプランを発展させたり、個人事業主の登録をしたり、またウェブサイトを作成して実際にビジネスを始めるので、かなり明確なプランがある人だけが参加を許可されていたのが印象的でした。ウェブデザイナー、エステティシャン、編み物アーティスト、電化製品の修理、ポスターや名刺の印刷業、オンラインストアを始めたい人、不動産業など様々な人が来られていました。

ちなみにこれらの講座はすべて生活保護を受けている人が対象で、参加費は無料です。参加するには生活保護のケースワーカーさんの紹介状が必要です。

私が実際に何をしていたのかというと…、クライアントさんと面談して講座への参加意思を確認したり、講座の説明をしたり、講座の準備をしたり、問い合わせの電話を取るなどの受付けなどもしました。生活保護のケースワーカーさん(市の職員)にプログラムを宣伝するフェアやプレゼンテーションにも数回参加しました(クライアントさんを紹介してもらうため)。

オンタリオではいわゆるハローワークというものはなく(※)、職探しなどの就労支援は非営利団体が担っています。そのため職探しに来られる方のお手伝いをしたり、一緒に履歴書を書いたり、面接の練習もしました(それからオフィスのリノベーションを挟んだので引っ越し作業や大量のシュレッダーや、フロントの受付をしたり、 PC操作のお手伝いをしたり、毎朝コーヒーを入れたりもしました(笑))。※市がやっているEmployment & Social Servicesという事務所は、生活保護(Ontario works)の申請窓口となっており、PCでの仕事の検索などができるスペースがあったり、各種セミナーをするなど職探しの手伝いもしますが、日本のハローワークのように条件の合った求人の紹介などはしてくれないようです。ここのケースワーカーさんから紹介してもらってくる人が多いです。

クライアントさんの多くは何らかの事情があって仕事をしていなかったり、していてもパートタイムの方がほとんどです。中でも多かったのは、visible minorityと言われる白人以外の移民や難民の方です。母国で大学や大学院を出て高学歴の人でも、カナダで仕事が見つからないという方も多くいて、切ない気持ちになりました。

それでもめげずに積極的に就職活動をしている姿を見て、この地で生きていくという覚悟のようなものを感じました。私は、今回の実習で、特に英語に対して度胸がついたように思います。それは3ヶ月間毎日英語環境だったので、英語自体が上達したと言うよりも、上記のような移民のクライアントさん達の姿を見て、私も頑張らねば!と思わされた部分が大きいです。クライアントさんがソーシャルワーカーを育てると良く言いますが、まさにそれを体験したように思います。

さらに実習で印象的だったことは、非営利組織の運営やサービス内容は行政の方針に大きく左右されるということを目の当たりにしたことです。次回は福祉サービスの民営化と、委託金に頼らざるを得ない非営利組織の不安定な運営について、今一度考えてみたいと思います。

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