カナダの公立学校の業務効率化

ソーシャルワーク・タイムズ vol.104 子連れソーシャルワーク留学 in カナダ vol.49

· 児童・教育

今回はカナダ・オンタリオ州の公立小中学校の話題です。

クリスマス前の12月19日に始まった冬休み。2016年は1月4日からスタートしました。カナダではお正月は特に大きなお祝いはないのでお休みが終わるのが早いのです。ちなみに終業式や始業式はありません(高校など以外では通常、卒業式も入学式もほとんどありません)。

子ども達の行っている学校では、子どもが欠席したり遅刻したりすると、登録している番号に事務室から電話がかかってきます。それが自動音声なのです。

「◯◯(←ここに児童の名前が入る)が、出席確認の時点で不在でした。理由が分かっている方は1番を押してください。(中略)…欠席の理由を選び、番号を押してください。体調不良は1を、通院は2を、家族の都合は3を…(以下略)」という感じです。

出席確認は朝クラスの先生がしますが、出席簿は事務室に渡され、事務室からこの自動音声電話がかかってきます。

この電話に応答しない場合には自動でリダイヤルする機能があるらしく、一日に何度も電話がかかってきます。このシステム(子どもがずる休みすることもなく)とても安心で良いのですが、困ることもあって…

「事前に連絡すれば電話はかかりません」と音声が言っているにも関わらず、事務室のスタッフや先生に予定を伝えておいても、何度も何度も電話がかかってきます(苦笑)。

きちんと連絡を伝えて欲しいな…と思うのですが、このおおらかさ(?)がカナダらしさなのかもしれません。

この自動音声電話は、イベントがある時や、年に数回あるPAデー(祝日ではないが、学校が休みの日です。先生達の研修などに利用されるらしい)などにもかかってきます。

「明日はミュージックコンサートです。ぜひお越し下さい」「明日はPAデーのため学校はお休みです」という感じです。

プリントで配られるお知らせは最小限になっています。ちなみに「学校からのお知らせ」のようなものはありますが、「学年だより」や「クラスだより」はありません。(最近、息子のクラスで生徒が作った学級新聞?が配られるようになりましたが)

先生はあくまで「教える人」なので、親に電話をかけて欠席の確認などはしないのでしょう。ちなみに指導要領はざっくりとしたもので、教科書などは使用しなくても良く、先生によってかなり内容が変わるそうです。

なお我が家の子供たちの行っている学校は施錠されているので、遅刻した場合にはインターフォンでドアを開けてもらわなければなりません。そして事務室に寄って、スタッフに名前とクラスを告げる必要があります。そうすると「遅刻証明書」がもらえます。先生やオフィスの人が朝の出欠確認で間違えることがあるので、後々の証明にかな…?と思います(苦笑)。

カナダでは事務スタッフが各学校に必ず常駐していて、教員との間で明確な役割分担がなされています。転入や出席管理などは事務員が担当します。

先生は徹底して「教える人」。例えばお昼(お弁当)の時間は、先生ではなくお昼担当のスタッフが、子どもたちをランチルームで見守りをします。先生は最短で授業が終わったすぐあと(3時半頃)に帰ることも可能です。

さらに学校全体で業務の効率化も目指されているように感じます。(連絡が行き渡らないなど、ちょっと弊害もありますが…)自動音声電話など、一つ一つは些細なことなのかもしれませんが、教員の事務的な仕事を減らすためには、取り組むべきことなのかもしれません。

日本の学校の先生の労働時間は世界一と言われます。一クラスが35~40人というのも先進国で最多の基準です。カナダのオンタリオ州では1クラス20ー28人くらいが標準のようです。近年では精神疾患などで休職する日本の教員も増えているとききます。ほぼボランティアで部活に費やす時間の多さも問題です。カナダの小中学校には期間限定のスポーツのクラブや、ブラスバンドはありますが、練習は週に1回か多くても数回、朝(と夕方のところも)1時間ほどです。

日本でも少しでも教員の事務的な負担を減らし、よい授業とクラスづくりに時間をあてる時がきているのではないでしょうか。