天災・ストレス・マインドフルネスなど

子連れソーシャルワーク留学 in カナダ vol.63 ソーシャルワーク・タイムズ vol117

· メンタルヘルス

九州で地震が続く様子を、遠くカナダから心配しているここ数日です。最近、日本の地震や天災に対する防災意識や備えは世界一ではないかと感じています。

カナダはバンクーバーのあたりで地震が起きることがあるそうですが、揺れはとても弱く人が気づかない程度だそうです。大地が揺れて家が壊れたり、ライフラインが断たれたりする可能性があるという考えはほとんどないように思います。カナダ人がおっとりした気質なのは、国土が広いことに加えて天災も少ないからでは…とも思ってしまいます。(冬は厳しいですが)

トロントの学校や職場でも避難訓練はあります。ですがそれは主に火事や不審者が侵入してきたことを想定したもの。アメリカと違って銃は禁止されているものの、70年代に大学構内で大規模な銃乱射事件があったり、近年、銃を使った犯罪も増加しつつあるため、小学校でも「ロックダウン」と呼ぶ訓練が行われます。

学校の敷地内に不審者の侵入があった場合、建物や教室を施錠し、カーテンを閉めて外から見えない位置に隠れるという方法だそうです。

日本の学校では、不審者の侵入に対する訓練をしているだけでなく、地震などを想定した保護者による引き取り訓練、各家庭での防災持ち出し袋の準備や耐震の工夫など、様々なも天災に備えているように感じます。

災害時は被災された方も支援者も、そして報道を見ている一般の方もストレスが高まります。そんな時には、何かリラックスできる仕組みがあるといいですね。「○○をしたら」、「○○を食べたら」、必ずリラックスできるというものを普段から意識していくつかもっていると良いかもしれません。

私の場合は一つの思考に捉われてしまった時や、頭が疲れている時には、漫才やお笑いの動画を見ます。漫才は展開が早く、集中して視聴しないといけないので、自分の捉われている思考から一度解放され、リラックスすることができると感じています。

リラックスしたり逆に集中力を高めるツールの一つとして、今、北米では「マインドフルネス」が大流行しています。最近、マインドフルネスを取り上げられることが多いので、知っている方も多いかもしれません。

北米では社員がより高い成果を出すためにgoogleやゴールドマンサックスなどの大企業で採用されています。また昨今では、ソーシャルワーカーのセルフケアや、クライアントへの効果的な心理療法の一つとしてソーシャルワーク教育の中にも取り入れられています。

マインドフルネスでは、その時の体や心の状態をそのまま受け止めて、今の自分を観察します。それにより思考や外部の環境にとらわれず、「今」に集中することで自分の能力を発揮できたり、リラックスできたりするそうです。

私がカナダに来てから授業などの中で4、5回マインドフルネスを体験しました。基本はリーダーが言葉で身体や心の「今」の状態に意識を向けるというものですが、リードする人によってやり方や長さが多少変わります。「今、草原にいると想像してください。…川が流れています…。木漏れ日の下にいます…」などイマジネーションを使うもの、ダークチョコレートを用いて味覚に集中するものなどもありました。長さも5分くらいのものから、30分まで様々です。

ソーシャルワークでは、クライアントへの心理療法として使用するだけでなく、ソーシャルワーカー自身がマインドフルネスを行うことにより、クライアントにより集中して、かつ安定して向き合うことができ、よい支援や介入の結果になるという「科学的根拠」が出ているそうです。

でもスタッフのストレスを「マインドフルネス」だけで解決しようとすると、問題の個人化につながります。もし組織として導入するなら、きちんと他の労働条件などを整えた上で(労働時間や労働の量、給料など)、マインドフルネスを導入すべきです。マインドフルネスだけやっても根本的な解決にはなりません

ちなみに、カナダ人の友人に「日本でも最近マインドフルネスが流行ってきていて…」と伝えると「えー?!マインドフルネスは仏教の瞑想から始まったものでしょう?!日本では、みんな普段から瞑想してるんじゃないの?!」と驚かれました(笑)。決してそんなことはないことは、みなさんもご存じだと思います。

確かに座禅は少し流行っているみたいですが。。。

もし関心がある方は「マインドフルネス」や「mindfulness」でwebやyoubuteを見てみてください。ただ、少数ですがマンドフルネスをすると逆に不安が高まったり、いろいろな感情が溢れてきたり、時間が長いと否定的思考になりやすいなどという研究結果も報告されているので、違和感を感じたら無理をしないのがよいと思います。

ちなみに私はマインドフルネスより、体を動かすヨガの方が好きです。

あまり手法にとらわれすぎることなく、自分がリラックスや集中できる方法を実践するのが一番ですね。